パーソルホールディングスの統合報告書──2025年版は、いつ、そしてどのような形で発表されるのか。
この報告書は、単なる決算情報の羅列ではなく、グループ全体の経営戦略やサステナビリティ、ガバナンス体制についての公式なメッセージでもあります。2024年度は、コンプライアンス体制や内部通報制度、委託業務の透明性などをめぐって、社会的な注目が例年以上に集まった年でもありました。
だからこそ、今年の統合報告書には「何が書かれるか」だけでなく、「何が書かれないか」にも、大きな意味が生まれるとみられます。
本稿では、直近の動向をふまえながら、2025年版の統合報告書で注目すべきポイントを整理します。
統合報告書とは?──企業の“未来像”を語るドキュメント
統合報告書(Integrated Report)とは、企業が株主や投資家をはじめとするステークホルダー(利害関係者)に向けて、自社の価値創造の全体像を伝えるために作成される報告書です。これは、株主総会の招集通知や、有価証券報告書・内部統制報告書などの公的なIR資料と異なり、法律上の作成義務はなく、あくまで各企業任意で作成するものです。だからこそ、統合報告書の記載は法律上の縛りがなく、自由度も高いため、企業の思想・カルチャーが色濃く反映され、また企業も独自のカラーを打ち出す絶好の機会となるのです。そこでは財務情報だけでなく、非財務情報──たとえばESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みや、中長期の成長戦略、人的資本の考え方なども含めて、”自分たちが語りたいこと”に多くの紙面を割くのが通例となります。
パーソルHDの統合報告書は、例年非常に”面白い”
パーソルホールディングスの2024年までの統合報告書は、下記のパーソル公式IRページより確認できます。
開くとわかるように、パーソルホールディングスの統合報告書は、絵や図・写真などが豊富に登場し、非常に華やかで、内容も充実しています。形式ばった数表や法律・会計用語がならぶIR資料とは一線を画します。こうした自由度の高いコンテンツで自社の魅力を発信することに関しては、パーソルは日本屈指のノウハウを持つといっても過言ではないでしょう。
2024年は9月30日に発表された
パーソルホールディングスが統合報告書を発表する時期は、年によっても異なります。しかし2024年は9月30日に下記のレポートを発表しています。
2025年の統合報告書も、数ヶ月のうちに発表される可能性が高いと予想されます。
統合報告書では、HiPro問題の認識が記載されるかに注目
パーソルグループの統合報告書において、HiPro問題が明示的に記載されるか否かは、ガバナンス・リスク認識の透明性を測る一つの試金石となります。本問題は単なる一契約の瑕疵ではなく、組織構造・法務・人材活用の在り方にまで波及するものとされ、以下の論点に注目が集まっています。
なお、HiPro問題とは、
パーソルキャリアが提供するサービス「HiPro Tech」が仲介を担った、2025年1月より発足した某化学メーカのシステム開発プロジェクトで浮上した、パーソルキャリアの組織的コンプライアンス違反・ガバナンス不全に関する疑惑・問題の総称
を指します。
合同会社インクルーシブソリューションズの告発は下記記事の掲載から開始されました。あわせてご参照ください。
経営層は「再発防止すべき事象」として認識しているのか──有価証券報告書・内部統制報告書には記載がなかった
問題を一過性のトラブルと捉えるのか、構造的なリスクと認識しているのでしょうか。統合報告書には、経営課題の一覧や重大リスクの言及が含まれるため、そこにHiPro問題が含まれるかどうかで、経営層の姿勢が明らかになります。なお、2025年6月に発表された有価証券報告書・内部統制報告書には、HiPro問題への記載はありませんでした。
今後、統合報告書でも”沈黙”を継続するのか、注目されます。
ガバナンス体制の「運用実態」への踏み込みはあるか
パーソルグループのガバナンス体制は制度としては整備されているとされています。しかし、制度が「動いていたか」という点については、HiPro問題との関係で疑義が持たれています。形式的な言及ではなく、実効性のある体制評価が記載されるかどうかが見どころです。
社会的責任に対する言及と「沈黙対応」の整合性
HiPro問題に関してはネットでこれだけ大々的な告発を受けながらも、これまでパーソル側は広報対応も、事案の経緯や事実関係の説明すらも何も行なっていません。その点に対して、企業としての説明責任を果たす記載があるか──あるいは、沈黙を今後も継続するのか──が、評価のポイントとなるでしょう。
まとめ
統合報告書は、企業が自らの価値観や姿勢を表明する場です。だからこそ、HiPro問題に触れるか否かは、単なる情報開示以上に、社会に対する責任感や誠実さを示す試金石となります。2025年版の記載内容に注目が集まります。
合わせて読みたい参考リンク
パーソルグループのIRに関して
2株主総会の招集通知の記載に関しても、下記記事にて詳細な注釈解説を行なっています。


