【株主必見】2026年1月6日 ブラックロックがパーソルHD株の5%超を公表 ガバナンス再建事業に参入はあるのか

2026年1月6日、投資ファンドのブラックロック・ジャパンはパーソルホールディングスの株式を5.01%取得したことを明かした。情報源は、金融庁(EDINET)へ提出された大量保有報告書である。

大量保有報告書の全文は下記に掲載されている。

参考までに、表紙の記載を抜粋する。

【表紙】
【提出書類】
大量保有報告書
【根拠条文】
法第27条の26第1項
【提出先】
関東財務局長
【氏名又は名称】
ブラックロック・ジャパン株式会社
代表取締役社長 橋本 幸子
【住所又は本店所在地】
〒100-8217
東京都千代田区丸の内一丁目8番3号
【報告義務発生日】
令和7年12月31日
【提出日】
令和8年1月6日
【提出者及び共同保有者の総数(名)】
8
【提出形態】
連盟
【変更報告書提出事由】

該当事項なし

ブラックロックは投資ファンドの”巨人”

ブラックロックは1988年にニューヨークで創業し、現在はグローバルに活動を展開する資産運用会社・投資ファンドである。ブラックロック・ジャパンはその日本法人だ。運用資産残高は日本円にして数百兆円、国家予算をも凌駕する経済規模を誇る。

2026年1月時点において、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリア、中東、アフリカ等、世界30カ国以上の拠点と従業員約13,000名で事業を展開する超巨大投資ファンドだ。

投資の巨人・ブラックロックはガバナンスの鬼でもある

近年投資の世界では、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)の観点で、企業の将来性・投資リスクを評価することが一般的になりつつある。これらは頭文字をあわせて、ESGなどと呼ばれることもある。

ブラックロックの特徴は、投資判断において、このうちG(ガバナンス)を特に重視する点にある。

一例として、下記にブラックロックが掲げる株主としての議決権行使に関するガイドラインを掲載する。

 

取締役の再任に反対する場合の例を、以下に一部抜粋する。

取締役選任
• 法令違反、刑事訴追、不正会計、公序良俗に反する行為など重大な社会的不祥事が発生し、社会的信用が失墜して経営上影響が生じている場合は、責任があると考えられる取締役の再任に反対する。ただし、速やかかつ適切な社内対応や処分が公表され、社会的信用の回復が図られている場合は、必ずしもこの限りでない。

• 事業への影響が大きいと考えられるサステナビリティ課題についての情報開示の重要性がより明確となっている状況を鑑みて、事業への影響が大きいと考えられるサステナビリティ課題についてのリスクと機会に関する情報開示が不十分であると考えられる場合、責任があると考える取締役に反対する

すなわち、彼らの基本姿勢は、「不祥事や法律違反、説明責任の欠如がある企業の株は、価値が下がるから許さない」というものだ。もしガバナンスに問題があれば、「株主総会で役員の再任に反対票を投じる」という最強の武器を迷わず行使する強さが特徴だ。

もっとも、本大量保有報告書には、保有の目的として「純投資」と明記されている。したがって、今回の株式取得の主目的は、パーソルホールディングスへの経営参画にない可能性もある。

HiProの規約変更と、ブラックロックの大量株式取得が重なった2025年末と2026年始

日本の業界史上最悪とも評されるガバナンススキャンダル・通称「HiPro問題」が物議を醸した2025年、パーソル幹部全員の”沈黙”のうちに年の瀬を迎えた。

しかも最大の皮肉は、2026年1月から、HiPro問題に沈黙しながらサービス利用規約が変更されたことである。

パーソルという会社には、顧問弁護士もいなければ法務部も存在しないのでは?」という告発に、異様な沈黙だけを続け、内部で規約の変更だけは行ったのだ。

2025年の大晦日に5%株主となった世界最強の投資ファンドは、HiPro問題に沈黙するパーソルのガバナンス体制をどう理解し、株主としてパーソルとどう向き合うのだろうか。

ブラックロックの大量保有報告書は、ガバナンス改革の合図か

そもそも大量保有報告書とは、大量に株を取得した株主(正確には5%)が、その事実を金融庁に届け出る書類だ。健全な投資環境の維持するために、金融商品取引法に規定が置かれている。

取得割合が今回5.01%であり、大量保有報告書の提出義務がちょうど発生する水準だ。穿った見方かもしれないが、新年早々に提出された大量保有報告書は、パーソルのガバナンス再建に乗り出す予告・予兆にも見える。ガバナンス重視のブラックロックであれば尚更だ。

2026年 パーソルホールディングスの株主総会でブラックロックは動くのか 5%保有が示す株主の権利

ブラックロックが5%の株を取得したことで手にした権利は次のとおりだ。

持株比率認められる主な権限要件根拠条文
1%超株主総会の議案請求権(取締役会設置会社)定款に別段の定めがない限り、6か月以上継続保有会社法303条2項
3%超株主総会の招集請求権定款に別段の定めがない限り、6か月以上継続保有会社法297条1項
3%超会計帳簿・資料の閲覧および謄写請求権原則として継続保有要件なし(※不当目的は不可)会社法433条1項

1%で議題を出せ、3%で「会社を動かせる」「調べられる」ラインとなる。

なお、2025年のパーソルホールディングスの株主総会は、合同会社インクルーシブソリューションズではHiPro問題を最重要アジェンダと位置付けていた。下記が、2025年5月にパーソル株主に啓発を行った際のレポートである。

いわば”裏のリスクレポート”が、多くの株主に注目されるなか、パーソル幹部が結局”沈黙”で総会シーズンを乗り切ったのが2025年だ。そして、監査法人トーマツとともに、”内部統制は健全”と表明することを選んだのである。

2026年の株主総会も、パーソル幹部は同様に”沈黙”するのだろうか。またその場合、ブラックロックは議決権をどう行使するだろうか。

5%株主の力によって、2026年中にパーソル幹部の”沈黙”が終焉を迎え、株主総会でついに真相が語られる日も来るかもしれない。

変化するパーソルの株主構成 ガバナンス重視の潮流で、新時代を牽引するのは誰か

パーソルの主要株主には、テンプスタッフ創業者である篠原欣子氏や、同氏が設立した公益法人・篠原欣子記念財団(通称しのはら財団)なども長らく名を連ねてきた。合同会社インクルーシブソリューションズも株主の一人であり、HiPro問題への対応が遅々として進まぬ日本の人材業界に向けて、株主のスチュワードシップを問題提起してきた。

これらのレポートは、「パーソル 株主」などとGoogle検索すればいくらでも出てくる。ブラックロックが、公開情報として存在するこれらのレポートを把握していないとは考えにくい。

  • 内部統制の不在
  • 証拠つきの告発への、経営幹部の”沈黙”

HiPro問題は本来、ブラックロックが最も嫌うタイプの企業不祥事だ。

それでもなお大胆な投資判断に踏み切ったのは、議決権行使によりブラックロック自身がガバナンスを再建させられる自信があるからかもしれない。もとよりパーソルには、「DEI」「人的資本経営」「キャリアオーナーシップ」「はたらくwell-being」などの優れた理念が存在しており、その価値を訴求することを通じて人や社会を動かす力もあった。

証拠つきでなされた各種告発に”沈黙”しかできない現幹部たちがパーソルの企業価値を毀損させてきたのだとすると、この先ガバナンス改革が進むことで、パーソルの株価は上昇する可能性もある。

ブラックロックによる株の大量保有は、そこまで見越しての判断かもしれない。

まとめ:合同会社インクルーシブソリューションズが掲げる旗は、公共性・透明性・倫理

なお、弊社・合同会社インクルーシブソリューションズがパーソルホールディングスの株主となったのは2025年7月31日だ。株の保有目的は、パーソルホールディングスのガバナンス再建を支援し、日本の人材業界/IT業界の健全な発展を促すことである。

合同会社インクルーシブソリューションズは、どのような個人・組織とも敵対することを望んでいない。パーソルの経営体制に指摘を行うのは、同社のガバナンスに構造上の課題・欠陥が見受けられるからであり、その改善が業界全体の利益につながると考えているからである。

ブラックロックの議決権に関しても、公共性・透明性・倫理をもって行使されることを期待したい。

参考:あわせて読みたい参考記事

パーソルのIRリスクとHiPro問題について

HiPro問題の情報は、今なおパーソル公式・日経をはじめとする主要メディアに一切存在しません。しかし合同会社インクルーシブソリューションズは、パーソルのIRリスクとして、2025年初旬から、いち早く情報提供に努めてきました。

ブラックロックの行動規範について

以下は、ブラックロックが掲げる行動規範です。

冒頭の宣言には次のような記載があります。

We are a fiduciary to our clients
私たちはお客様の利益を常に第一に考え、言行一致を旨とします。公平性と透明性を重視し、責任をもってお客様の声を届けます。

現行一致に企業価値の源泉を見出す姿勢は、合同会社インクルーシブソリューションズにも類似するものが見られます。

弊社のIR実務のポリシーは以下で解説しています。

パーソルCEO・和田孝雄氏について

株主に対する経営責任を負うのは、パーソルホールディングスCEOの和田孝雄氏です。

弊社について

合同会社インクルーシブソリューションズは、データ・システムの力で、透明性・公共性・倫理を兼ね備えた組織運営を支援しています。

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