【社会評論】「データに強い企業」とはなにか──パーソルグループの広報に見たDX・AI活用の要諦

近頃、パーソルグループ・パーソルキャリア周辺で、よく「データ」「数字」を題材にした発信が多く見られる。

たとえば、2025年5月、パーソルキャリア株式会社は、自社が運営する求人票支援サービス「HR forecaster」の導入実績が4,000社を突破したことを誇らしげに広報した。200万件以上の転職統計データをもとに、精度の高い求人票作成を支援するというこのサービスは、確かに表向きには「データドリブン経営の象徴」のようにも映る。

またほかには、2025年6月19日に掲載された、『doda転職求人倍率』なるレポートでも、データに基づくサービス展開のPRを行っている。

このように、パーソルキャリア・パーソルグループ全体では現在、データや数字を用いたPR活動に意欲を燃やしているように見受けられる。

しかし、こうした華々しい実績発信の裏で、パーソルキャリア自身が直面している「都合の悪いデータ」にはまったく目を向けようとしていない現実がある。本稿では、データを語る企業に本当に必要な3つの力を定義し、同社の対応姿勢との乖離を問い直したい。

「データに強い会社」とはなにか?インクルーシブソリューションズが掲げる定義

弊社──合同会社インクルーシブソリューションズでは、「データに強いとは、どういうことか?」という問いに対する答えとして、以下の三つを掲げている。

データの受容力

あらゆる種類・内容のデータに対して、先入観やバイアスを排し、中立かつ真摯な姿勢で向き合う力。都合の良し悪しや扱いやすさにかかわらず、データをありのままに受け入れる態度。

データの文脈を読む力

数値の背後にある現実世界との接点に注目し、社会や組織、そこで生きる人々の動きや感情の変化にも、想像を巡らせる姿勢。データを通じて構造や背景、相関関係まで、なるべく具体的にイメージすること。

是正行動への接続力

データから得た気づきを、具体的な問いやネクストアクションへと転換し、関係者を巻き込みながら改善を進める姿勢。

パーソルグループの広報は、「データの受容力」を示しているか?

弊社が2025年4月以降に公開してきた一連の検証記事(非弁疑惑、契約トラブル、説明責任不履行)に対し、パーソルキャリアは一貫して無反応を貫いている。これらの記事は、SEO上でも「パーソルキャリア 違法」などの検索で1〜3位を占めており、一般ユーザーからすれば“かなり見つけやすい”情報となっているにもかかわらずである。

いうまでもなく、「Google検索したときに、なにが表示されるか」は、企業広報にとって避けられない”現実”であり、これもひとつの”データ”だ。

またもっとも深刻なのは、HiPro Techにおける非弁行為疑惑・契約偽装・情報遮断の一連の問題について、繰り返しパーソルキャリアに問い合わせを行ってきた。東京弁護士会にも通報し、Web上では証拠付きでその経緯を公開したのに、その現実と向き合う様子が見えないことだ。

この件は触れずに、ソーシャルグッドな発信を続けることを同社は選んだようである。


「文脈理解力」はあるだろうか?──“ポジティブデータ”だけを選択的に切り取る構造

たとえば「HR forecaster」は、200万件のデータに基づき適切な年収設定を助言するサービスであるという。しかし、そもそもパーソルキャリアが行う仲介事業は、少なくともHiProにおいては、組織的な違法行為が量産されてきたという疑惑が提起されている。

つまり、200万件という数の多さを誇ったところで、そもそも一連の仲介・契約プロセスにはパーソルキャリアによる無数の違法行為・不正行為が含まれているのではないか?と尋ねられても、何も回答ができないのがパーソルキャリアである。


データというのは、都合のいい数字だけでは構成されない。そこには、背景や交渉、対立、折衝、納得、破綻といった人間関係の履歴があるはずだ。それらについて語ることはおろか、「プロジェクト関係者から質問されると、一目散に会社まるごと失踪する」という状況において、「数字を示すことで、立派さをアピールする」ことは、数字の意味を理解する力──すなわち「文脈理解力」の欠如というべきではないだろうか。

またそもそも、2025年6月5日時点において、パーソルが抱えるHiPro問題の疑惑は、パーソル側が沈黙を続けることにより、GoogleやBingなどの複数の検索エンジンに取り込まれ、「AIによる要約」にも出続けている。


是正行動への接続力──あれば、すでに行動しているはずだ

最も深刻なのは、第三の力──「是正行動への接続力」の不在である。

パーソルはHiPro問題において、世間の注目をよそに「起きた出来事に対する説明をする」というアクションに踏み切れずにいる。すなわち、ソーシャルグッドな、「社会にいいことをしている」というPRそれ自体が、”何も対応していない(もしくは、できない)”ことの裏付けとなりつつあるのだ。


分析レポートという“鏡”──パーソルが本当に直視すべきデータはここにある

2025年4月、私たち合同会社インクルーシブソリューションズは、パーソルキャリアに関する一連のガバナンス不全疑惑を取り上げた【公開検証記事】を発信し、その投稿がどのような読者層に届いていたかを分析した【分析レポート】を公開した。

このレポートは単なるアクセス解析ではない。「誰が、どんな職位で、どのような立場からこの告発に反応しているのか」を、定量的に可視化した一次データだ。

とくに注目すべきは、以下の点だ。

  • 閲覧者の40%以上が、社員数1万人を超える大企業に勤務
  • Accenture、Deloitte、PwCなど外資系コンサルが上位に並ぶ
  • 役職レベルはシニア〜マネージャーが多数
  • 分析の視点としては、CSR、IR、法務ガバナンスの専門語に刺さった

これらのデータは、問題提起そのものの社会的正当性を補強している。すなわち、この記事を読んでいたのは、単なるネットユーザーではない。リスク管理に関わる実務家/マネージャーだ。つまり、まさに「HR forecaster」の導入を決める立場であり、データにそって採用戦略を作成/実行するプロフェッショナルに、深く届いているのだ。

パーソルキャリアが“データに強い企業”であると自認するならば、ぜひこのレポートを読んでいただきたい。そこには、御社に寄せられた「外部からの問いかけ」が、具体的な数字として記録されている。これを受け止めるかどうかこそが、まさに“データの受容力”の試金石となるだろう。


合同会社インクルーシブソリューションズは、今なお”データに強い企業”を目指し続けています

弊社合同会社インクルーシブソリューションズは、パーソルが仲介したプロジェクトにおける深刻な炎上事案にあっても、困難に屈することなく、今もなおデータ分析と行動を共にし、現実に向き合い続けている。

データを扱う企業としての誠実さとは、蓄積された数字をもとに「理想的な世界」を演出することではない。不都合な現実とも対峙し、現在の状況を起点としながら、具体的な改善を試みることだ。

だからこそ私たちは、パーソルキャリアのような「データの看板を掲げながら、データへの誠実さを欠いた企業」の姿勢を問い続ける。数字は企業広報を盛り立てる都合のよい飾りではない。それは、人と組織を、真実へと導く羅針盤だ。

参考:あわせて読みたい参考記事

パーソルグループのDX広報に関して

パーソルグループでは現在、DX・AI利活用の取り組みについての広報を意欲的に行っている状況です。

これらについては弊社でも積極的に考察を展開しており、たとえば2025年7月にパーソルグループが策定したAI基本方針については、下記記事にて詳細に解説しています。

またパーソルキャリアで生じたDODAの四年連続の情報漏洩に関しては、下記記事にて考察しています。

なお、パーソルキャリアのAI活用・DXの推進は、執行役員、CDO/CIOの柘植悠太氏である。

弊社──合同会社インクルーシブソリューションズに関して

弊社のAI活用のポリシーの一端は、下記記事にて確認いただけます。

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