【資料解説】2025年パーソルHD株主総会と”HiPro問題”──情報開示・内部統制・役員報酬の全疑問

——パーソルホールディングスがついに明かした”表向きの”株主総会の議題——

2025年5月21日、パーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルHDと記載)より「第17回定時株主総会 招集ご通知」が発行された。本稿では、パーソルHDが公表した株主総会の招集通知の記載事項に対し、主にパーソルキャリアのHiPro問題の観点から、注釈・解説を行う。

なお、本稿の読み取りにあたっては、この「招集ご通知」を傍に置き、相互に参照しながら読み進めていくことを勧める。

※記載ルールとして、pはページ数を意味する。(例)p5→5招集通知の5ページ
※文中に掲載される画像は、特に記載がないものは、出典は当該招集通知のスクリーショットである。

-目次-

前提:株主総会の招集通知とはなにか?なぜ招集通知が大事か?

この問いについては、2023年7月14日、パーソル総合研究所の、古井氏による記事──株主総会の招集通知から見えた、人材に関する専門性不足──を引用しよう。

この説明は、招集通知についての一般的説明として極めて適切であるとみられたためだ。加えて、パーソル側の認識を尊重する上でも有益だからだ。

古井氏によれば、招集通知の記載内容を通じて、パーソルからみた他社企業において、人材に関する専門性の不足が読み取れる場合があるのだという。その記事の冒頭では、古井氏にとっての招集通知の位置付けを次のように説明している。(※太字による強調は筆者)

株主総会の招集通知は、株主に総会の日時や目的を伝えるもので、会社法によって規定されている。
==中略==
そして招集通知には、人的資本情報に関して、有価証券報告書に適用された開示義務や開示方法の縛りがない、ということが挙げられる。自由に記述できる分、各企業の人的資本経営に対する考え方や情報開示への姿勢が出やすいのではないかと考えた。

このように、会社法上の根拠を有する公的な資料価値、また、記載の自由度、といった観点から、企業側のリテラシーが反映されるというのが同氏の主張のようだ。そして、「人材」領域のプロを自負するパーソル側からすると、他社の招集通知には、「人材」に関する記述が薄い・専門力の不足が見受けられる、と当時語っていたというわけだ。

こうした主張の当否はともかく、株主総会の招集通知にどんなことを書くか重要だという、この認識は極めて真っ当だと思われるため、そのまま採用する。

以下、招集通知をつぶさに読み解きながら、「HiPro問題」に対するのパーソルホールディングスの認識を検証していくことにする。

p24 下段: アジア・オーストラリア領域での海外事業は、コンプライアンスの国際標準に対応できているのか?

同資料ではアジア太平洋地域での事業拡大が明記され、特にオーストラリア市場への注力が読み取れる。

実際、弊社のHiPro問題の告発関係コンテンツにも、オセアニア地域(特にオーストラリア:シドニー地域)からのアクセスが、連日確認されている。したがって、パーソルが行う人材事業のコンプライアンス・ガバナンスの妥当性に強い関心を持つ層は、オーストラリアにも複数いるとみられる。

そうした状況を踏まえて、下記の点が重要な確認事項と考えられる。

  • HiPro問題の告発を放置することはグローバルスタンダードに準拠しているのか?
    • 「静観していれば、いずれ忘れる」という、同質性の高い業界内・組織内での危機管理の論理に基づいた対応となってはいないか?
  • そもそもパーソルキャリア・パーソルホールディングスの人材事業は、日本の国内法には準拠しているのか?
    • 準拠しているなら、なぜHiPro問題に対する応答ができないのか?弁護士法違反という告発もあり、本当なら刑罰適用すらあるが、事態の深刻さをどうみるのか?
    • 準拠していないなら、この先、日本国外・国際社会の基準を満たすことができるのか?
  • HiPro問題について、海外のステークホルダー・海外の投資家にむけて、パーソル側から説明することは可能か?
    • パーソルキャリア株式会社は、日本語でも、顧問弁護士の情報すら出てこないが、この状況で海外のステークホルダーへの情報提供はできるのか。

p28:「重要な子会社」としてのパーソルキャリアの言及 パーソルHDの子会社の管理は適切だったのか?

招集通知の記載では、パーソルキャリアが「重要な子会社」との位置付けが示されている。

だが、その子会社の主力サービスであるHiPro──特にIT人材の紹介に特化した「HiPro Tech」において、サービス責任者が音信不通となり、顧問弁護士の存在も不明な状態が、今なお継続している。この事実に対し、パーソルHDとして何らの対外説明もないというのは、「子会社管理」の原則から逸脱しているのではないだろうか。

なお、パーソルグループにおいて、各子会社とホールディングスの関係を踏まえたリスクマネジメント体制の解説と、その実効性の疑義については、下記記事でも詳細に解説している。

HiPro問題がホールディングス全体の経営責任の問題であることは、少なくとも下記のような事実を確認するだけで明らかであり、「対応がない=経営責任が果たされていない」という非難を免れないのではないか。

HiPro問題の重大性裏付け_その1:東京弁護士会への通報(2025年4月29日)

  • HiPro Tech統括部の責任者:野村鉄平氏の失踪
  • 匿名のカスタマーセンターからの「弁護士を出す」という宣言
  • 弁護士が出てこないという、対応の矛盾
  • 弁護士会への通報がなされても、何も対応できずに、無難なプレスリリースを出し続ける広報

これらの一連の経緯については、下記記事を参照いただきたい。

HiPro問題の重大性裏付け_その2:GoogleのAIまでHiPro問題を学習しつつある

Googleでの検索結果(つまりSEO)と、検索結果に表示される「AIによる要約」を踏まえた、HiPro問題の社会的な認知の高まりについては下記記事を参照いただきたい。

p43: 内部監査委員会についての記載があるが、HiPro問題については内部監査はしないのか?

また、43ページの上部には、内部監査(つまり、第三者機関ではなく、同一グループ内での監査)について、次のような記載がある。(※太字による強調は筆者)

監査等委員会
監査等委員会は、持続的な企業価値の向上に向けて企業の健全性を確保し、パーソルグループと株主共同の利益のために行動し、以下に掲げる職務を行うものと定めております。
・取締役の職務の執行の監査及び監査報告の作成
・会計監査人の選任及び解任並びに不再任に関する議案の内容の決定
・取締役(監査等委員である取締役を除く)の選解任若しくは辞任又は報酬等についての監査等委員会の意見の決定
また、監査等委員会は、必要に応じて、内部監査部門に対して具体的な指示を行うことができ、監査等委員会と内部監査部門は、相互の連携体制を確保するため、適切な情報共有等を行っております。内部監査部門の重要な人事は、監査等委員会の同意を経て決定するものとし、監査等委員会による監査の実効性を確保しております。

こうした記載を忠実に受け止めるなら、HiPro問題の放置は、企業価値を毀損しているといえるのではないだろうか。またパーソルグループと株主共同の利益を目的にするとの記載も、「責任を取りたくないパーソル関係者、一部の機関投資家」などではない、真っ当なステークホルダーであれば、HiPro問題について、対応を待っているのではないだろうか。

本件について、内部監査の実施の有無について、ハーソルホールディングスの見解の発表を待ちたい。

p29: 林大介氏(監査役)・菅奈穂氏(ホールディングスCLO)などの弁護士は、非弁行為の嫌疑に今後も沈黙を続けるのか?

また、パーソルHDの役員の中でとりわけ目を引くのは、取締役(常勤監査等委員)として紹介される、弁護士の林大介氏だ。林氏については、注記で次のような補足が記載されている。(※太字は筆者)

2.当社は、監査等委員会の監査・監督機能の強化や情報収集の充実、内部監査部門等との十分な連携を図るために、監査等委員の林大介氏を常勤の監査等委員に選定しております。

この記述は非常に示唆的だ。林大介氏は、弁護士資格を持ち、CLO(最高法務責任者)としての経歴を持つ。このような人物を、「内部監査との連携」を意図して登用するのだそうだ。

直接的にHiPro問題への言及はないものの、法曹として、また内部監査機能のグループ内強化にむけて、下記の論点への応答が問われる。

  • すでに弁護士会への通報までなされた、パーソルキャリアの非弁行為(弁護士法27条、72条違反)の疑義にどう応じるのか
  • パーソルキャリアの顧問弁護士は誰なのか、ネット上に情報が存在しない状況はこのままでよいのか
  • 2025年5月25日時点で、「パーソルキャリア 内部統制」で検索すると2位、「パーソルキャリア 顧問弁護士」で検索すると1位で出てくるのは下記Noteだが、パーソル側からも、自社の内部統制について、発信・広報をするべきではないか

なお、パーソルキャリアの監査役でもある林大介氏の詳細は下記記事にまとめている。

また、執行役員という立場ではあるが、2025年4月よりCLOに就任した菅奈穂氏の対応も注目される。菅氏は林氏と異なり、日本国における弁護士資格を有しており、日本国での司法修習を修了しており、経歴からみても日本の弁護士法・弁護士倫理についての理解は十分であるとみられる。したがって、HiPro問題を「パーソルの組織的非弁行為」とみた際には、この疑惑に真っ先に応答すべきは菅氏だという見方もできる。

なお、菅氏についての詳細なまとめは、下記記事にて展開している。

p30~38: 役員報酬では、「ポリシー」ではなく、「具体への当てはめ」をもとに、「誰にいくら払うのか」のシミュレーションを示すことは可能か?

30ページから38ページにかけては、役員報酬の算定のポリシー・ガイドライン・報酬体系の大枠が記載されている。HiPro問題との兼ね合いでは、やはり気になるのは、HiProサービスの全体の責任者であり、パーソルキャリアで執行役員を務める鏑木陽一朗氏の実績・功績をいかに評価するかだろう。

HiProブランドが抱える、”功”・”罪”の極端な”ねじれ”

パーソルキャリアのHiProは、重大な要因が交錯しており、ある種の”ねじれ”が生じていることから、同社の役員報酬の算定方針の”本音”を問うのに格好の材料といえる。たとえば、ポジティブな材料として、ネットですぐに見つかるのは次のような記事だ。

AI、DX等の流行分野において、オピニオンリーダー的立ち位置にいることを示す記事

地方創生・産学連携などの文脈で、PRに適した題材を多数提供してきたことを示す事例

しかしながら、こうしてHiPro問題を抱えるのもやはりHiProだ。このブランドがパーソルキャリアの社内で、またパーソルグループ全体で、いかなる意義を持つのかは、偽らざる”経営陣の本音”を問う資金石となりえるだろう。

p37: HiPro問題への対応の不在は、経営上の重大な”誤り”にならないか?

なお、招集通知の37ページの下部には、次のような記載がある。(※太字による強調は筆者)

下記の記載は、あくまでパーソルHDの招集通知の話であり、非上場企業であるパーソルキャリアに直接当てはまるわけではない。しかし、同じグループ内で、それも親会社が打ち出すポリシーなのだから、少なくとも、理念・思想レベルでは、パーソルキャリアと大きく相違はないと予想される。

(6)報酬等の没収(クローバック・マルス)重大な会計上の誤り不正による決算の事後修正が取締役会において決議された場合、または役員の在任期間中に会社と当該役員の委任契約等に反する重大な違反があったと取締役会が判断した場合、指名・報酬委員会は、取締役会からの諮問を受けて、賞与及び株式報酬を受ける権利の全部若しくは一部の没収、または支給済みの賞与及び株式報酬の全部若しくは一部の返還を求めるか否かについて審議し、その結果を取締役会に答申します。取締役会は、指名・報酬委員会の答申結果を踏まえて、賞与及び株式報酬を受ける権利の全部若しくは一部の没収、または支給済みの賞与及び株式報酬の全部若しくは一部の返還を当該役員に請求するか否かにつき決議するものとします。

これを見るに、経営責任の一環として、報酬が没収となるのは、会計・決算などの、会計上の誤り・不正といったケースを強く想定しているものとみられる。

では、HiPro問題の場合はどうだろうか?HiPro問題は確かに、不正会計の問題とは異なる。しかし、

  • 一個人の誹謗中傷などと異なり、「企業側の沈黙そのものが社会的に注目されている」という構造があり、対応しない限りレピュテーションリスクは増大しつづける
  • 沈黙を続けた結果、社会的な評判・ブランドイメージの形成はおろか、IR・CSRなどのテーマですら、”企業の語り”の信用毀損が継続している

という状況があり、企業の資産価値に問題が波及しかねないことはもとより明らかである。パーソルキャリアが、経営陣を含めて、意図的に対応を放棄し続けたことは、悪意と同一視されかねなない、経営上の重大な注意義務違反ではないだろうか?

鏑木陽二朗氏と、HiPro問題の関連

なお、HiPro問題の背景を踏まえつつ、鏑木陽二朗氏について詳細に論じた記事は下記となる。

この記事では、HiPro問題の渦中に行われたとみられる、同氏の不自然な役職変更を疑惑として取り上げている。

p38: 情報公開の姿勢:「価値創造ストーリー」ではなく、聞かれたことに普通に答える姿勢が問われているのではないか?

38ページ(2.取締役の報酬等ー1.パーソルグループの役員報酬の考え方ー情報開示等の方針)には、下記のような記載がある。(※太字による強調は筆者)

(7) 情報開示等の方針
 役員報酬制度の内容については、各種法令等に基づき作成・開示することとなる有価証券報告書、株主総会参考書類、事業報告、コーポレートガバナンス報告書、統合報告書及びホームページ等を通じ、当社株主に対し迅速に開示します。
 また、株主や投資家と目的をもった建設的な対話を行い、当社の価値創造ストーリーに関する理解を深めていただくとともに、建設的な対話を通して受けた株主や投資家の意見を取締役会等で共有し、当社の経営に反映することで、当社の企業価値向上に努めます。
 社内取締役(監査等委員である取締役を除く。)については、原則として連結報酬等の総額が1億円以上である者に限ることなく、開示することとします。

たしかに、パーソルキャリアの広報媒体を見ていると、全体的に「働く人のストーリー」に関するコンテンツが非常に多い。招集通知にあらわれた「ストーリーに関する理解を深めていただく」という記述は、存在する記事群とは整合的だ。

しかし、合同会社インクルーシブソリューションズは、「働く人のストーリー」以上に、「実務における具体的な説明責任」のほうがはるかに重要では?という問いかけを、本招集通知の発表に先立って、すでに問題提起してきた。

ストーリー偏重型広報への批判1:森田咲氏・石上篤史氏の執行役員就任挨拶にむけて(2025年5月9日)

ストーリー偏重型広報への批判2:五島列島の地域課題の介入(2025年4月27日)

4月13日に、先んじで発表されたパーソルキャリアのIRリスク──なぜこれがパーソルの社外の人間から出されたのか?

他方、パーソルのせいでステークホルダーに実害が生じかねない場面では、パーソルの広報は責任をもって応答するのだろうか?この問題は、IR領域の問題としてすでに問題提起済みだ。

たとえば、下記記事は、4月13日に弊社が発表した記事だ。本記事では、「統括責任者の野村鉄平氏が失踪したので、パーソルHiProは、サービス廃止・責任者解任等のスキャンダルが予想される。」と、IR・投資関係者向けに、注意喚起してきた。

パーソルキャリアが株主総会の招集通知をだすひと月以上もまえに、パーソルキャリアの公式広報ではなく、合同会社インクルーシブソリューションズが、告発というかたちで、注意喚起したのである。

  • この注意喚起が正しいのだとすると、なぜパーソルキャリア本体ではなく、外部の人間がさきに注意喚起する経緯となったのか
  • この注意喚起が正しくないのであれば、なぜパーソルキャリアの広報はこれを明確に否定せず、Webで一般公開可能な状態なのを放置しているのか
  • そもそも、HiPro Techの統括責任者の野村鉄平氏が「失踪」している現状、鏑木氏が野村氏の上司であるなら、「失踪者が部下にいる状態で、なんの説明もなく黙認が続いている」ことになるが、それ自体が選任上の瑕疵にあたるのではないか

という問いに答えるべきである。これらは、「ストーリー」などではなく、「論拠」をもって、明確に、責任をもって答えるべき問題のはずだ。

来たる2025年の株主総会、先々の広報のスタンスはどうなるのか

なお、他にも、HiPro問題に関連して、先々を見据えた確認事項は複数ある。

ひとつは、上記記事にまとめた4つの質問だ。なお、この質問事項は、パーソルHDが招集通知をだす”前”に弊社が公表した公開質問であるが、その数日後にパーソルHDが公表した招集通知には、”HiPro問題”への記載はなかった。ここでは、下記のような問いをパーソルHD経営陣に投げかけている。

  1. パーソルキャリアは組織的な非弁行為/不正な仲介斡旋を行っていないのか?
  2. パーソルキャリアの顧問弁護士は誰か?いるなら、ネットに情報開示はされているのか?
  3. 検索エンジン上では複数記事が上位表示されている──なぜ広報は沈黙を続けるのか?これはIR問題ではないのか?
  4. タレントシェアリング事業部/HiPro Tech統括責任者・野村鉄平氏は今も責任者なのか?

また、ほかにも、「野村鉄平氏が講師を務める」とのセミナーの類の募集がWebには公表されたままだ。そもそも野村氏は失踪しているのに、予定通りの開催は可能なのだろうか?こうした懸案事項については、下記Noteにまとめている。

なお、HiPro Techの統括責任者である、野村鉄平氏についての詳細なまとめは、下記記事で展開している。

規範・宣言の形骸化・有名無実化の状況はないだろうか

また、対外的な「ことばによる発信」が洗練されていても、それが本当に内情と合っているのかという点に関しては、パーソルグループの行動規範と、HiPro問題の大きな乖離も注目される。この点は、パーソルグループのコンプライアンス意識が問われる。

さらに、Career SBUに掲げた戦略の内容も、それを具体の実務・タスクへの「落とし込み」が可能なのかにも疑問が残る。この点は、戦略から実行まで、一気通貫でやり切る力がパーソルにあるのか否かが問われる。

投資家に向けた会計データではなく、取引先・サービス利用者への情報開示には課題はないか?

ほかにも、合同会社インクルーシブソリューションズが2025年1月ごろに参画したプロジェクト──HiPro問題の発端となったプロジェクトにおいても、担当者・現場レベルにおいての、著しい情報開示の課題がみられた。

以下は、弊社代表の安部 航祐と、当時プロジェクトで仲介担当を務めていた東竜誠氏との間のメールのやり取りの抜粋だ。パーソルキャリア側の東竜誠氏が、

  • 自分の所属している会社(すなわち自分がパーソルキャリアに在籍していること)
  • 自分が所属している部署の名前
  • 自分の直属の上長の名前

などの最低限の情報すら開示を渋っていた頃のことである。合同会社インクルーシブソリューションズが、「パーソルキャリアには、組織的・かつ大規模な企業不正が潜んでいる可能性がきわめて高い」と判断したのも、実はこのやり取りが発端だった。つまり、顧問弁護士の名前を聞かれても明かせないことは、合同会社インクルーシブソリューションズ側から見れば、さほど驚くことでもなかったのだ。プロジェクト全体の経緯をみれば、パーソルキャリアはもとから”そういう人たち”の集まりだと見るのが自然だったからである。

2025年2月17日 20:38 安部 →パーソル東氏へのメール

東様

お世話になります。安部です。

いただいた回答読みましたが、

そもそもこの件について、ご自身の上司や社内の法務担当などと連携しながら対応していますか?

東様がお一人だけで対応されようとしているのではないかと疑問に思い、確認になります。

後から社内の正式な回答と異なる話が出てくるといった事態を避けたいので、ご自身の上司や社内の法務担当などに、私と東様の一連のメールを開示済みであるかどうかを教えてください。

また、もし共有がまだであれば、社内での共有を進めていただけないでしょうか。

また、**パーソル側担当者メンバー1**様・**パーソル側担当者メンバー2**様にもご相談です。

東様と社内でどのような関係か存じておりませんが、上記の社内連携・エスカレーションがまだでしたら、お二方の社内共有にご協力いただけますでしょうか。

よろしくお願いします。

安部

2025年2月18日 14:02 安部→東氏への再度のメール

**パーソル側担当者メンバー1**様 **パーソル側担当者メンバー2**様 東様


お世話になります。安部です。

ここ数日、これまでご担当いただいていた東様からの返信ペースが極端に遅い点を懸念しております。

昨晩20時38分に私から送付したメールも、本日14時時点でまだご返信を確認できておりません。

御社のサービスがどのようなものであれ、
数日に一通といったペースでしかメールのやり取りが成立しないとなると、重要なプロジェクトの対応がそもそも可能なのか、疑念を抱かざるを得ません。

以下質問です。

・東様の所属部署・部門・チームと、ご本人の役職を、組織体制を踏まえてルート階層から順に教えてください

・東様の直属の上司のお名前と、連絡先(メールアドレス)を教えてください。また、もし東様ご自身がマネージャーであるなら、その上位組織のマネージャーのお名前と連絡先(メールアドレス)を教えてください。

※上記は定型的な確認にすぎず、回答に時間がかかるとは思えないので、本日中に、**パーソル側担当者メンバー1**様・**パーソル側担当者メンバー2**様・**パーソル側担当者メンバー3**様どなたかから、返信をお願いします。

連絡先をご教示いただいたら、その次のメールで私からは先日までに東様にした質問と同じ質問をしたいと考えています。


よろしくお願いします。

2025年2月18日 22:43 やっと届いた東氏→安部への連絡 しかし所属部署すら明かさない

安部様



お世話になっております。パーソルキャリアHiPro Techの東でございます。



ご返信が遅くなり、誠に申し訳ございません。



先日より頂戴しているご質問に関しまして、一度お電話もしくはお打合せのお時間をいただければと存じます。

上席や該当部門をお引き合わせすることはやぶさかではありませんが、

質問の背景がわからず、現状では先日の回答以上のお答えが難しい状況です。


安部様のご要望に沿った対応をさせていただきたく、ぜひお電話もしくはお打合せのお時間をいただけますと幸いです。



また先日の回答の根拠となる内容で、ご登録時に同意をいただいているサービスの規約内容です。
https://hipro-job.jp/terms/
~~~~~~~
中略

何卒よろしくお願い申し上げます。

2025年2月18日 23:33 分 安部→東氏への再質問 聞かれたことに答えないので、東氏の部下にもエスカレーションを迫った


東様

安部です。メールありがとうございます。

「質問の背景がわからない」とのことですが、すでにお伝えしているように、会社の正式な回答であるか否かがわからない状態でやり取りが進むことを懸念していることが背景です。また、トラブルを防ぐために、今後は東様との口頭での打ち合わせ等は遠慮させていただきます。

以下、いただいたメールに関する質問です。

・そもそも東様が自身の所属部署・部門・チームを明かさないのはなぜでしょうか?そもそも東様がパーソル株式会社に所属されている点は事実なのですか?
・「上席や該当部門をお引き合わせすることは可能」とのことですが、具体的にどなたをご紹介いただけるのか、手続きや日程調整の段取りをご案内ください。
・もし一連の東様からの連絡が、パーソル株式会社様の正式な見解であるなら、その上席や該当部門から「この件の担当者が今現在も東様であり、東様に今現在も対応を任せている」旨を私に連絡してくだされば済むはずです。それすらしないのはどうしてでしょうか?
そもそもこの件に関して、上席や該当部門へのエスカレーションはお済みなのでしょうか?

2月19日15時までに、上記の質問回答の回答をください。


また、**パーソル側担当者メンバー1**、**パーソル側担当者メンバー2**にも質問です。

東様がご自身の所属部署すら回答をくださらず困惑しているのですが、お二人は東様の所属部署をご存知でないのでしょうか?

お二人がどのような業務を担われているか把握しておりませんが、下記の点は事務的・形式的な内容にすぎず、お二人からでも十分対応可能ではないでしょうか?


・東様の所属部署・部門・チームと、ご本人の役職を、組織体制を踏まえてルート階層から順に教えてください
・東様の直属の上司のお名前と、連絡先(メールアドレス)を教えてください。また、もし東様ご自身がマネージャーであるなら、その上位組織のマネージャーのお名前と連絡先(メールアドレス)を教えてください。

上記2点の回答につきましては、**パーソル側担当者メンバー1**・**パーソル側担当者メンバー2**あての質問として、お二人からの返信を待っているのでよろしくお願いします。


以上、よろしくお願いいたします。

安部

意図的に情報を不透明にして、関係者を”転がす”のがパーソルキャリアの戦術か?

このように、

  • 所属組織の名前すらしつこく尋ねられても教えない
    • そもそもメールの署名にも、そうした所属情報が記載されていなかったからこそ、「東竜誠氏が何者か」すら不明となっていた
  • 再三尋ねられると、「電話で話したい」「意図がわからない」などという、無意味な連絡を、連絡頻度を落としながら繰り返す

といった、ある意味できわめて”洗練された”手法が垣間見えた。

この先は憶測の域をでないが、パーソルキャリアの社内には、

  • いざとなったら担当者の個人の判断ミスで逃げられるよう、部署の統一方針・上長の名前などを聞かれても明かすな
  • メールの署名にも自分の所属部署・チーム体制などを書くな、苦情を言われてもギリギリまで曖昧にしておけ
  • メールの文面で残した回答はそのまま証拠になるため、交渉で不利になったら「電話で直接話す場」を作って、主導権を取り返せ

などといった、プロジェクト関係者に対する信義違反となるようなマニュアル・ガイドライン・上層部からの指示が、現場で出回っている可能性すらある。

これらは、株主総会で主に争点となるような、典型的なディスクロージャー(情報開示)の領域とは異なるが、HiPro問題の根本原因ともなった、同社が抱える社内文化の”病理”である可能性がある。

総括:2025年の招集通知・株主総会の全体にいえることとは

招集通知の記載には、「経営陣の専門性」が現れる

株主総会の招集通知は、会社法の規定に基づく公的な資料であり、その記載内容は、決して「体裁だけ」のものではない。なにより、パーソル総研自身も、かつて、「招集通知の記載を通じて、企業の専門性が見えてくる」というような発信をしている。パーソルHDにとっての「経営とはなにか?」という問いを掘り下げるためにも、また相互の認識・議論の前提を整理するためにも、本稿を掲載した。

株主総会で聞くべきことはただ一つ──「HiPro問題ってなんですか?」「HiPro問題について教えてください」

本稿では、弁護士法・IR・CSR・ガバナンス・情報開示など、多方面の論点を掲げたが、それらはすべて各論・個別論点にすぎない。HiPro問題について、経営陣に問うべきことは、煎じ詰めればただの一つである。それは、「この問題について、あなた自身の言葉で説明してください」「ネットで検索したときに出てくる記事、これはなんですか?」ということだけだ。

多くの人がこの問題に関心を持つことで、企業ひいては業界の透明性向上をはかることが可能となります。株主も、そうでない人も、メディア関係者も、HiPro問題に興味をもつ全ての人の力を結集し、パーソルHD経営陣に問いを投げかけましょう。

本件に興味を持ったメディア関係者・パーソルHD株主の皆様は、弊社に連絡をください

合同会社インクルーシブソリューションズは、HiPro問題をめぐる数々の疑惑の証拠をはじめ、詳細な情報提供を行う用意があります。連絡は、下記の窓口よりお願いします。

※ご連絡いただいた事実、連絡内容は、弊社の業務上の機密情報の準ずる形で保護されるため、秘密は守られます(パーソル業界関係者・HiPro問題当事者であっても、同様のポリシーが適用されます。)また、情報提供にあたっては、パーソルキャリア・パーソルホールディングスの企業およびその従業員に対する誹謗中傷など、公序良俗に反する取り組みを行わないこと、業界およびパーソルグループの経営改善を目的とした活動に役立てることをお約束いたします。

参考リンク一覧

弊社──合同会社インクルーシブソリューションズに関して

合同会社インクルーシブソリューションズは、データ・システムの力で、透明性・公共性・倫理を兼ね備えた組織運営を支援しています。

弊社は、ビジネスをかたる「ことば」や「ロジック」は、実務と整合してこそ価値を持つというポリシーのもと、企業のIRの支援活動を行っています。弊社のIRのポリシーの一端を知りたい方は、ぜひ下記の記事もご一読ください。

パーソルキャリア公式サイト

パーソルグループ公式サイト

Hipro Tech公式サイト

パーソルホールディングスの株主総会の招集通知(2024年、2025年)

パーソルホールディングスの株主総会の有価証券報告書(2025年)

2025年の内部統制報告書について

内部統制報告書は、有価証券報告書とセットで作成・公表されるIR資料です。ガバナンスに異常がないことを経営者が確認したことを制約する資料であり、経営責任の不在を防ぐ趣旨で、作成が法的義務とされています。

確認者は、パーソルHD代表取締役CEOの和田孝雄氏となります。

パーソルグループのIRに関して

パーソルホールディングスのIRについての全般的なまとめは、下記記事にて詳細に解説しています。

パーソルホールディンスのIRカレンダー

パーソルグループの投資家情報

鏑木陽二朗氏に関して

鏑木陽二朗氏は、HiProサービス全体の責任者であり、パーソルキャリアで執行役員を担っています。

林大介氏に関して

林大介氏は、パーソルキャリアにおける監査役であり、内部統制・ガバナンスの構築を担ってきた経営メンバーとみられます。

その他のHiPro問題関係者に関して

パーソルHDの主要株主について

パーソルHDの株主には、創業者の篠原欣子氏やその財団などの創業者の系譜も大きな割合を占めますが、投資信託などの一般投資家の資金も多くを占めます。

なお、2025年7月31日からは、合同会社インクルーシブソリューションズもパーソルHDの株を所有し、株主としての立場から同グループのガバナンスを改革する活動に尽力しています。

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