【社会評論】”人柄だけ語って責任を語れない”パーソルキャリアの社内文化──執行役員の新体制アナウンスに見る、ガバナンス不全を生み出す組織風土

2025年5月、パーソルキャリアの広報部は、二人の執行役員、森田 咲氏と石上 篤史氏の執行役員就任挨拶を発表した。

両者の挨拶文を否定する意図はまったくない。ここで語られた「働くこと」をめぐる原体験の数々は、別の”働く誰か”に響くこともあるかもしれない。

しかしそれだけに「このような方々が、いま何を担っているのか」という肝心の情報がいっさい示されていない点には若干の違和感も覚える。そもそもパーソルキャリアは現在、ガバナンス/内部統制の破綻をめぐって、深刻な疑惑を抱えたまま沈黙を続けている。

これらはIRリスクに直撃する経営課題だ。パーソルキャリアはなにを意図してこのタイミングで組織体制の見直しを行い、そしてこのような告知を行っているのだろうか。

「顔の見える誠実な語り口」で体面を取り繕いながら、「内部の根源的な腐敗を覆い隠す」ことがパーソルキャリアの広報文化なのだろうか。

語られるのは「人柄」、語られないのは「責任の所在」

この2本の広報記事では、どちらの執行役員も「”はたらくこと”をめぐる原体験」「個人的なエピソードからくるキャリア観」が語られている。だが両記事はいずれも、二人がどの組織を管掌し、何の意思決定を行い、どのような事業課題の解決を目指しているのかには触れられていない。

特に現在、パーソルキャリアはHiproTech統括部の不祥事と社内の広報沈黙が批判されている最中にあり、広報の構造的な危うさは無視できない。

「個人を前面に押し出すが、企業としての応答は避ける」というやり方は、読者の共感を誘いながらも、組織としての説明責任を曖昧にしていく手法であり、パーソル経由の炎上プロジェクトで弊社に見せてきたものと全く同じだ。

パーソルキャリア/タレントシェアリング事業部/HiProTech統括部の統括責任者である野村鉄平氏も、プロジェクトで課題発覚して間もない頃はこのように、「クレーマーのお気持ちだけ受け止める」「想いに寄り添う」とでも言わんばかりの対応を見せていた。以下は2025年2月20日8時33分に、弊社が野村氏より頂戴したメールの一部抜粋だ。(下にスクリーンショットあり。)

いただいた時系列の整理を見ると、1月27日までで時系列の記載が止まっていますが、本日は2月19日であり、すでに三週間以上が経過しております。1月28日から本日までの期間に生じた東様と私のコミュニケーションについても、適切な内容となるよう野村様が管理業務に取り組んできたという認識でお間違いないでしょうか?

→1/27以降、本件にあたって、企業様・安倍様のご意向を踏まえて尽力しております。正ながら、「適切な内容となるよう野村様が管理業務に取り組んできたか?」というご指摘に関して、こういった形で安倍様から直接私に問い合わせを頂いている以上、東との連携に正すべきことがあると認識をしております。

先のメールと合わせまして、こういったメールを頂戴することとなり、大変申し訳ございません。
私共としては、フリーランサー様のご活躍の場を多く提供したいという想いで、サービス運営を致しております。

立ち上げて5年目となりますがまだまだ至らない点も多く、ご不快な思いをさせてしまい、この点、大変申し訳なく思っております。

他にも気になる点がございましたらご連絡いただけましたら幸いです
2025年2月20日8:33 メールのスクリーンショットを開く

しかし弊社が「ガバナンス不全」「組織的な違法行為の再生産」といった本質的な疑惑を追求を続けると、最終的には、「法務に確認」「名乗らないカスタマーサポート名義での対応」に移行していった。こうした一連の経緯は、弊社公開の記事で既に詳細を記録した通りだ。

当初は統括責任者の野村鉄平氏も「フリーランサー様」「活躍の場を多く提供したい」「想い」といった言葉を口にしていた、にもかかわらずである。

しかしながら一方で、

  • ご不快な“思い
  • このような”メールを頂戴すること“となり、申し訳ない
  • 他にも”気になる“ことがあれば、ご連絡

などといった具体性のない謝罪表明をしている点も、非常に興味深い。穿った見方かもしれないが、今となっては”感情・気持ちに寄り添う以上のことはしたくない”という態度表明だったのかもしれない。もしわざとやっているならば、多くの仲介業をこなすノウハウとして、きわめて”洗練された”苦情対応とも言うべきなのだろうか。

ともあれ、このように、

  • 個人の想い、”はたらいて、笑う”人材の理想像を語る文脈では、スマートで紳士的な所作/言葉遣いが前面に出る
  • 責任主体としての組織の機能不全が指摘される文脈では、内部プロセスを秘密にしながら、組織でまるごと問題から逃走する

といった歪なダブルスタンダードこそが、パーソルキャリアを支配する文化的レベルでのガバナンス不全の”病理”なのだと推察される。

「パーソル関係者の弁護士の情報」は多数あるが、「顧問弁護士が誰か」はネット検索すれども見つからない

この事象は、同社の法務部/顧問弁護士といった危機管理セクションにも、通底するものがある。

たとえば、パーソルキャリアに関してネット検索で情報収集をすると、コンプライアンスに関連したセミナーや、所属社員が外部講演で紹介する弁護士の名前が多数見つかる。たとえば渥美坂井法律事務所の三浦悠佑弁護士は、パーソルホールディングスとの研修実績もある人物だ。

他方で奇妙なことに、パーソルキャリアの「顧問弁護士」が誰であり、どの法律事務所に所属しているのかを正式に明記した一次資料──公式サイト、IR資料、また広報やプレスリリースの類──は、弊社が調べた限り一切情報が出てこない。

またそもそも弊社は、匿名の「HiProTechカスタマーセンター」より、「次は代理人弁護士を出すから、記事は削除しろ」と言われたきり、エンドクライアントとともに放置されてきた経緯があるので、会社に弁護士の所在を直接問い合わせてもいる。(そして言うまでもないが、同社はずっと黙殺している。)この経緯を踏まえるに、同社はそもそも顧問弁護士の実在を意図的に曖昧にし、明言することを避けているのではないかと推察される。

こうした、”責任逃れに最適化している”という評価すら妥当性を帯びている組織体制づくりに、もし弁護士が共謀しているのならば、弁護士業界にも共有すべき社会課題であるため、弊社はすでに弁護士会にも通報を済ませている。このことは、先日の記事で明かした通りだ。

同社の組織文化に話を戻そう。ともあれ同社の対外的な姿勢に見えるのは、「個人の思い」には強いスポットライトを当てる一方、「組織の責任構造」については決して明るみに出さないという、企業文化としての“非対称性”である。この構図は、パーソルキャリアの広報姿勢/リスクマネジメント双方に通底しているようにも見える。

組織ぐるみで説明責任を逃れるために最適化された”ビジネス戦術の一部”でもあるのだろうか。

しかし、新たな執行役員──森田咲氏と石上 篤史氏には、組織文化を変える可能性がある

とはいえ、今回登場した執行役員のお二方の発信には、何ら否定されるような内容が含まれているわけではない。

自らの職業観の変化を語る姿勢──そうした資質が本物であるならば、今この企業に欠けている「内部からの改革の兆し」として、むしろ期待すべきなのかもしれない。

  • 実在が確認できない顧問弁護士
  • 法律用語を散りばめながら、脅しとも取られかねない一方的な通告を行う匿名の「カスタマーサポート」
  • プロジェクトの途中で、担当者も責任者が全員逃亡するHiProTech統括部

これらの問題の解決に向けて、新たな執行役員らはこの先、どのような関与を見せるのだろうか。

この問いは、弊社や検索エンジンではなく──まして検索結果に出てくるAIなどではなく──パーソルキャリア自身が”次なる広報”というかたちで、”自分たちの言葉で”答えをだすべきだろう。

企業の“顔”として登場した以上、新たな執行役員の”働くこと”をめぐる物語が、今後どのように経営課題に接続していくのか、今後の動向に注視したい。

参考リンク一覧

パーソルグループは「はたらいて、笑おう」のキャッチコピーの広告でも知られる超大手の人材サービス企業です。
以下に、パーソルグループ・パーソルキャリアに関する企業公式サイトを紹介します。

パーソルキャリア公式サイト

Hipro Tech公式サイト

執行役員就任挨拶

弁護士の三浦 悠佑氏に関して

鏑木陽二朗氏に関して

鏑木陽二朗氏は、HiProサービス全体の責任者であり、パーソルキャリアで執行役員を担っています。

林大介氏に関して

林大介氏は、パーソルキャリアにおける監査役であり、内部統制・ガバナンスの構築を担ってきた経営メンバーとみられます。

その他のHiPro問題関係者に関して

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